私が女性週刊誌のデータマンになり、最初に行かされた取材先というのは、ある産婦人科のお医者さんであった。
正確なタイトルは思い出せないが、その取材のテーマは「絶対安全な避妊法」というようなものであった。
取材に出掛ける前に、デスクの1氏が私を呼んで「どんなことを取材するつもりだ」と聞いた。
学生あがりで、女性経験を数え上げると親指と人差し指で足りるというくらいウブな私であったので、避妊の知識といえば「オギノ式」くらい。
また、妊娠が女性にとってどういう意味をもつのかといったことにまで思いが及ぶはずもなかった。
私は思いつくまま、質問項目を5、6本メモにして1氏に渡したが、
「ダメだよこれじゃ。女の身体と女の気持ちに関する質問が全然入ってないじゃない。本屋に行って産婦人科の本を買ってきな。妊娠の知識を仕入れて、もう一度メモにして頂戴」
というわけで、私は本屋で婦人科関係の本を探して、その資料をもとに質問項目のメモを作った。
「ダメ、ダメ。ここにはBG(当時はビジネス・ガールと呼んだ)の気持ちに関する質問が入っていないじゃん」
「BGの気持ちって何ですか」
「この記事を読むそもそもの動機さ」
「妊娠したら恐いということでしょう」
「甘い。恐いのは恐いけどその前にもうひとつある」
「なんですか、それ」
「アレをしたいという気持ちさ。したいけどこわい。だから、安心してできる方法を教えてあげましょう、というのがこの企画さ」
「なるほどねえ」
私は目からウロコが落ちるような感じで納得したのであった。
私のライティング取材は最初にしては合格点だったように思う。
私のデータからかなりの部分が本文に採用された。
