webライティング・代筆屋になりたてのD君がある中小企業の社長にインタビューに行った。
テーマは「リストラ、どこ吹く風で躍進する中小企業。その経営のコツを聞く」とでもしておこう。
社長室に通されたD君、やおら取材を始めたが、ものの10分と経たないうちに話題が尽きた。
D君が聞きたいポイントに社長が答えてくれないのだ。
それは、社長の悪意というようなことではなく、正確に答える言葉を持っていないようにD君には思われた。
どんなに具体的に聞いても、社長の答はありきたりの単純な答で、面白く広がっていかない。
中見出しになるような面白いヒキのある言葉が出てこない。
D君と社長のやりとりはざっとこんな具合だ。
「社長さん、現在のリストラの嵐をどう思われますか」
「あれは大企業の話で、われわれには関係ないですよ」
「中小企業でも、リストラをやっているところは多いようですが」
「放漫経営すると、そうなるでしょうね」
「放漫経営というと、具体的には...」
「要するにコストにシビアじゃないということですよ」
「社長さんの会社が、平成大不況の中で高収益をあげているのは、どこが優れているからでしょうか」
「当たり前のことをやっているだけですね。別にとりたててこれというのはないですよ」
と、こんな具合である。
社長さんは一生懸命考えながら答えているのである。
D君が質問するたびに深く考え込み、言葉を選んで話しているのだが、これでは記事にならない。
約束の1時間が過ぎて、D君は憂欝な顔で社長室を出たのであった。
どうして、D君の取材は失敗したのだろうか。
どこに問題があったのだろうか。
その答を出す前に、私が初めて取材に行ったケースを紹介しておこう。
